常に命を救う最前線へ駆けつけみんなの笑顔を守る「消防士」。
「将来は消防士になる!」そんなお子様も多いのでは?
ニュースや消防署でよく見かける職業ですが、そんな消防士の業務をご存じですか?
本記事では消防業務について元消防士の私が徹底解説していきます!
消防士に興味がある方は必見です。
そもそも消防士とは
消防士って職業名じゃないの!?
実は、皆さんが普段使う「消防士」という名称は、階級の名称です。
消防署で消防業務に従事している職員は本来、「消防吏員」と呼びます。
警察官になぞって、「消防官」という呼び方もあります。
消防職員として採用後に、一番初めに与えられる階級が「消防士」です。各自治体によって承認の条件は異なりますが経験年数や、承認試験を経て上位の階級へ上がっていきます。
この階級章は活動服や制服の右胸に付いています。
この記事ではわかりやすいように、消防職員のことを消防士と呼びます。
消防士の勤務体系
火災や救急は、深夜でも駆けつけてくれるよね?
消防士の勤務時間は2種類あります。
隔日勤務(24時間勤務)
消防士は、119番通報があった際に迅速な対応ができるように24時間消防署にいます。
その24時間勤務をしている職員の勤務体系を【隔日勤務】と呼びます。
実際の勤務の日程がこちらです
「当務」はその日の8時半から翌日の8時半まで勤務になります。
「週休」はその日の勤務は無く、休みになります。
「年休」は年次有給休暇です。その日も休みです。
「非番査察」は24時間勤務が終わった後に、事業所に立入検査に行く日でした。
その他の業務もあれば、地域によっては、消防のイベントを始めとした非番の行事などがあります。
「空欄の所」は「非番」になります。災害等で消防署の人員が足りなくなった際などに、「非番招集」が行われ、消防署に人員が戻ってくるまで勤務することがあります。
このように、基本的に2日に1回勤務する勤務体系を「2交代制」といいます。
「3交代制」という勤務体系もあり、こちらは
当務 | 非番 | 週休 | 当務 | 非番 | 週休 |
この順で勤務が行われています。
なお、24時間勤務をしていますが夜間の22時から朝の6時までは「仮眠時間」となるため1日は16時間勤務になります。
毎日勤務
消防士にも一般的な職業と同じように、【毎日勤務】と呼ばれる土日祝日が休みで8時30分から17時15分までの勤務をしている消防職員もいます。
その消防組織の消防長や各消防署の所長、総務や専任の予防に携わる職員たちが該当します。
また、最近では再任用職員や出産や育児などをこなす方たちが「日勤救急隊」として勤務する制度が始まった自治体もあります。
消防業務
- 警防・消防業務
- 救急業務
- 救助業務
- 予防業務
消防の仕事は主に4種類あります。ただ、どのような仕事をしているのか知っていますか?
知らない方にもわかりやすいように消防業務について解説していきます。
各業務について詳しく書いた記事もありますので、そちらもご確認ください。
どの仕事も、命を守る、助けるためのお仕事だね!
警防・消防業務
この仕事は主に紺色の活動服を着た職員が担当しています。
消火活動
「消防士といったら、火災の消火活動」と考える方も多いのではないでしょうか。
火の熱から体を守るために「防火服」を身にまとい消火活動を行います。
この消火活動は、火を消すだけが目的ではなく近隣への延焼防止や付近の水害などの被害を最小限に抑えられるように活動しています。
燃えてしまう物も、建物や林野、車両などがあるためその場に即した活動が求められます。
火災の原因調査
火災が発生したら、「その火災の原因やどの程度の被害が出たのか」といったことを明らかにするために、火災の原因調査を行います。
規模が大きい自治体は、原因調査専門の部署もあります。
※下記の予防業務で詳しく説明しています。
PA連携
PA連携とは、ポンプ車(Pumper)と救急車(Ambulance)が連携をすることです。
救急車がなかなか到着しない現場や、救急隊のみでは傷病者の搬出など難しい場合に消防隊がポンプ車で現場まで出場し、現場対応にあたる業務です。
地水利調査
地水利調査(地理・水利調査)は、消防署が管轄する地域の消火栓や防火水槽が災害時に異状なく使用できるかを確認して回る業務です。
若手職員は、この地水利調査の際に消防水利の場所や地域の道順を覚えるという側面もあるので若手育成の面からも大切な業務です。
救急業務
この仕事は主に白色の活動服を着た職員が担当しています。
救急活動
救急車には、1名以上の救急救命士の資格をもつ消防士や、消防学校で基礎知識や実技などの救急に関する課程(250時間)を修了した消防士が乗っています。
救急の種別は、様々な種別があります。
- 急病
- 一般外傷
- 交通事故
- 転院搬送
内容もその方の通報内容によって異なります。119番通報があり、救急車へ出動の指令が下り迅速に現場へ急行します。
現場に救急車が到着するまでには、全国平均で平均10分以内見なっています。そのわずかな時間で、傷病者の状態を想定し、車内で持っていく資機材を選定したりおおまかな活動方針を決定します。
その後、現場に到着したら救急車へ傷病者を収容したらその方の症状に対して対応可能な病院へ収容の依頼をします。
収容先を決定し、病院へ引き継ぐまでが救急隊の任務です。
救命講習
救命講習は、一般的に「心肺蘇生法」、「AEDの使用方法」について学べます。
基本的には「普通救命講習Ⅰ」と呼ばれるコースの受講が大多数を占めます。このコースは3時間かけて、「心肺蘇生法」や「AED」の使用方法を学び、地域によっては傷病者の「搬送法」や喉に何かを詰まらせた際に行う「異物除去」も学べます。
救助業務
この仕事は主にオレンジ色の活動服を着た職員が担当しています。
救助活動
「救助隊」、「レスキュー隊」とも呼ばれる消防士の中でも選ばれた精鋭たちが、救助活動におけるプロフェッショナルの証であるオレンジ色の活動服を身にまとい活動しています。
救助活動が行われる現場は主に「事故」や「怪我」が発生している現場が多いです。
- 車同士の正面衝突で運転席が押しつぶされてしまい、足が挟まって車外に出られない場合
- 消防署の119番に火災の通報があり、「家族がまだ中にいる」「住民がどこにいるのかわからない」との情報があり、屋内からの迅速な救助が必要な場合
- 山林や河川で何らかの要因があり動けなくなっている場合
などがあり、救助する側も危険が伴うので「安全」「確実」「迅速」に活動し、速やかに救急隊へ要救助者の方を引き継ぐ必要があります。
救助大会
消防士には「救助大会」という個人で行う競技もあれば、複数人が集まったチームで競技を行う種目もあり、救助の技術を披露する大会が全国で行われています。
陸上の部は7種目あります
- はしご登はん
- ロープブリッジ渡過
- ロープ応用登はん
- ほふく救出
- ロープブリッジ救出
- 引揚救助
- 障害突破
水上の部も7種目あります
- 基本泳法
- 複合検索
- 溺者搬送
- 人命救助
- 水中結索
- 溺者救助
- 水中検索救助
一回の本番のために数か月間もの間訓練を重ねます。
その本番で同じ都道府県の出場チームよりも成績が良いと上位の大会へ進出できます。
大会本番のために筋肉や体力をつける消防士もいれば、要救助者役をする消防士は規定の体重へ合わせるためにダイエットする消防士もいます。
大会自体は各都道府県の消防学校等で行われるので、選手の家族や付き合っている方なども観覧できるので、もし機会があれば見に行きましょう。
予防業務
予防の業務は、法律も絡むので内容が少し難しいです。
予防に従事する職員は、毎日勤務の予防の専任の職員もいれば、隔日勤務(24時間勤務)の職員が兼務して行う場合もあります。
「火災が起きる前に防ぐ」といった使命をもとに働く【予防】に携わる消防士がいるので今の平和な社会があります。
立入検査
【立入検査】とは消防法第4条を根拠にして、不特定多数の人が出入りする「特定防火防火対象物」や指定数量以上の危険物を製造・貯蔵・取り扱いなどする「危険物施設」に対して建物自体や設置されている消防用設備等が消防法施行令に基づいて基準に適合しているのか確認や、消防職員が各事業所へ直接行き消火器や誘導灯、自動火災報知設備などにおける不備の確認、防火管理者が行わなくてはならない責務を遂行しているかなどを確認する検査です。
確認した際に、すぐに改善できる不備等があればその場で指導したり、修繕や改装等の整備がある場合は、安全のために消防法を基に早急に改善させます。
消防署に届け出をせずに増築等をしてしまい、数千万円の改善をしなくてはならなくなった例も実際にありました。
露店調査
【露店調査】は正月やお祭りなどの露店や屋台で、火気を使用して物品等を販売・提供している店舗に対してLPGガスや発電機、消火器等の設置の確認などを行います。
露店調査という消防の業務を知らない方も多いと思いますが、地域住民の皆さんが安心・安全にお祭りなどを楽しめるようなお手伝いもしています。
消防訓練
皆さんも学生の頃【消防訓練】を経験したことがあるのではないでしょうか。
訓練自体は、「消火訓練」「避難訓練」「通報訓練」があり防火対象物に定められた事業所等で消防法に基づき行われています。
また、訓練をする際に消防士を要請した場合はその施設へ赴き、通報訓練の補助や避難訓練の講評、消火器や屋内消火栓の取り扱いの説明も行います。
火災の原因調査(予防)
警防・消防業務にも【火災の原因調査】はありますが、本来は予防の業務なので詳しく説明します。
火災を消火したら、その火災の概要や、出火に至った原因などを調査して国へ報告します。
火災の原因調査は文章だけの説明では理解しにくいため、平面図や付近の配置図、焼損図や焼損範囲の求積図等も作成しますが、これらの資料は火災の出場隊が作成する自治体が多いです。
予防の業務は、直接検査に行くことや、管轄の事業所が届出に来る書類の処理、各種事業所からの相談など専門性が高く、難しい業務もあるため、毎日勤務の専任予防係が設置してある自治体が殆どです。
みんな自分の仕事にプライドを持って仕事しているんだね!
まとめ
- 消防署では2日おき、もしくは3日おきに勤務を繰り返しており、24時間様々な災害があっても、迅速に対応できるように消防士が待機しています
- 消防士にも、一般的な職業と同じく8時30分から17時15分までの勤務形態で働いている職員もいます
- 警防・消防業務は、各火災対応や、その原因調査など火災に関する仕事や、救急業務の支援や地域の消防水利の点検などを行っています
- 救急業務は、各現場ごとの救急業務の対応や地域住民に向けた救命講習などを行っています。また、高齢化も進み救急業務が年間を通して1番多い業務になっています
- 救助業務は、各現場における救助活動の業務や、救助大会などの広報活動の側面を持つ業務も行っています。消防の花形的な位置付けにあり、救助隊員になることを目標に消防職員になる消防士も多数います
- 予防業務は、一般的にはあまり知られていない業務ですが今後のために発生した火災の原因究明や、火災が起こらないようにする業務、火災が発生した際に焦らず行動でき量にするための訓練などをおこなっています。予防業務が火災件数減少にとても大きく関与しています
消防の業務は多岐にわたり、各々違った特徴や特色があります。
しかし、地域住民の方が「安心」「安全」に日常生活を送り、公共の福祉が充実するように、消防士たちが日々皆さんを支えています。
昔から変わらない点もありますが、料理などの家事をなんでもこなせる「公務員」ということもあり、安定もしている消防士と出会いたい、結婚したいという方も多くいます。
しかし、公務員の定年延長も決まっているので、今後は消防職員の採用人数も減り消防士との出会いが徐々に減るでしょう。消防士を探すなら今がチャンスです!
この記事を機に、消防業務に興味を持っていただければ幸いです。